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バリアフリーマップの自動生成について考える

バリアフリーマップの自動生成について考えます(唐突)。

バリアフリーマップに求められる情報とは?

 国土交通省が策定している歩行空間ネットワークデータを標準例として考えることにします。

 総合政策:歩行空間ネットワークデータの概要 - 国土交通省

 f:id:russENG:20201111212324p:plain
 https://www.mlit.go.jp/common/001229548.pdf


 データ記述上のルールを省略すると、以下の情報が必要です。

 f:id:russENG:20201111212910p:plain(仕様より)

 真面目に図面を拾ったり、歩いて情報を集めていくのが確実ですが、今は自動生成について考えます。
 イメージ的には、航空写真のような画像データからこんな感じで広範囲を一気に自動生成できるとかっこいいのでは。
 基本的には屋外のデータ化について考えていく。
 sorabatake.jp

自動生成できると何がいいのかとか

 
 バリアフリーマップのデータが進めば、そのアプリケーション利用により、障害を持つ人、高齢者、全ての人にとってアクセスビリティが増えたり、より良い施策につながっていくだけでなく、防災面の効果も期待できる。
 built.itmedia.co.jp

 現在公開されている歩行空間ネットワークデータは、東京都を中心に都心部から整備されているようである。また、避難所近辺のデータの整備はあまり進んでいない様子。

 歩行空間ネットワークデータ等 - データセット
 https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/0401

 

画像データから自動生成

衛星写真

 www.tellusxdp.com

 ・おそらく解像度の問題で難しいか? (ASNARO-1でも解像度0.5m)
 ・道路ネットワークの情報は取れるだろうが、道路の勾配の情報は取れなそう。
 ・道路ネットワークの情報であれば、地図データの方が良い。

ベクターデータから

基盤地図情報国土地理院)他

 www.gsi.go.jp

 ・道路の外周データがあるので、リンクがつながったネットワークデータをGISデータとして変換するのには、一番良さそう。
 ・5mデータのDEMと組み合わせれば、大まかな勾配のデータは取れそう。
 ・経路の構造(歩車道が分離されているか)の情報は取れなそう。
 ・段差、5m以内の急な勾配の情報は取れなそう。

③Open Street Map

 ・詳しくないが、おそらく②と同じ状況?

④道路台帳

 道路台帳 - Wikipedia

 ・道路台帳というものがあり、道路管理者が管理する道路(公的な事業で作られた道路?)であれば作成が義務付けられており、申請を出せば閲覧が可能。
 ・歩道・車道の別、その道路の幅員、勾配等の情報がある。
 ・歩行空間ネットワークデータでは5%以上の勾配の情報の登録が必要だが、道路台帳で義務付けらている勾配の情報は8%以上となる。
 ・道路台帳がもし紙図面管理であれば、機械学習等で情報を抽出するのはチャレンジとして有益かな、とかも思ったが、多くの自治体で電子化されている模様。(一市民がCADデータの複製を受けるのは考えにくいし、資料が電子化されているのであればそれの二次利用自治体のやるべきタスクのような気がしてしまう・・・)
 ・港区、横浜市等では公開がされている(Web地図としての情報開示であり、二次利用は難しそう)

道路台帳は近年電子化が進んでおり、総務省自治行政局地域情報政策室が実施した地方自治情報管理概要(平成 25 年 4 月 1 日現在)によれば、都道府県では 72.3%、市町村では53.5%が道路台帳を電子化している。
閲覧の方法としては、各自治体の窓口に出向き、紙媒体を直接閲覧する(インターネット上では閲覧できない)ケースがほとんどである。ただし、最近一部の自治体(横浜市、港区等)で、Web 上での閲覧が可能となっている。

https://aspicjapan.org/information/guideline/pdf/syakai_shihon.pdf


その他・3次元データ等から

⑤MMS(モービルマッピングシステム)での点群データ

 www.pasco.co.jp

 ・同じ発想の研究がある。
  →点群座標データを用いた歩行空間ネットワークの整備に関する基礎的研究
   http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/ronbun/H23_dobokujyouhouriyou04.pdf


 ・近年では、国土交通データプラットフォーム、バーチャル静岡など点群データをオープンデータとして公開する例が進むので、方法論の検討の余地がある。
 www.moguravr.com

 ・ただもって、車が入れない(なかなか入らない)歩道等のデータは確認できない。

⑥ドローン等

 ・点群データからの生成が有効なのであれば、ドローン又はポールカメラで点群データを生成することも考えられる。
 ・ただ、ドローンだと上空からの影になる部分は取得できないため、欲しい路面情報を撮影する計画を作るのがだるそう。

Googleストリートビュー

 ・Googleストリートビューで撮影している写真からこれらの情報を取得できないか(といいつつ、あんまり具体の方法論はイメージできていない)
 ・情報が古い場合がありそう(前の巡回が2年前など)
 ・MMSと同じく車両が入れない箇所は取得しづらい。

スマートフォンカメラで情報を取得する

 ・スマートフォンのアプリで情報取得をスムーズに行えるようなアプリケーション。
 ・データを一気に処理できるという利点は消えるが、確実そう。
 ・下記のような既に実装されている平面検出アルゴリズムを用いて、路面の画像だけを取得し、機械学習で判別、GPSで位置情報を付加する、とか・・・。
 www.youtube.com
 techpartner.jp

今日の結論

 ・②基盤地図で大体の道路ネットワークについては取得しておき、⑧のアプリケーションで賢く情報を補完していく、というのが筋が良さそうか?
 ・信号の情報取得、GIS化については今日は考えていない・・・。